ギャップフィラー材の塗布で歩留まりが落ちる。現場で見てきた原因と対策

はじめまして、桐山直哉と申します。
大手電機メーカーでパワーエレクトロニクス機器の生産技術を12年間担当し、放熱設計とギャップフィラー材塗布工程の歩留まり改善に何度も向き合ってきました。
現在は独立し、製造業向けの技術ライター・設備選定コンサルタントとして活動しています。

「ギャップフィラー材の塗布で歩留まりが落ちる」
そんな相談を受けるたびに、原因はだいたい同じところに集まります。

この記事では、現場で実際に見てきた歩留まり低下の原因と、その対策を整理してお伝えします。

配合比のズレが硬化不良を招く

放熱用ギャップフィラーの多くは、主剤と硬化剤を混ぜて使う2液性の樹脂です。
レゾナックの解説によると、パワー半導体は導通損失とスイッチング損失のほとんどを熱として放出しており、放熱対策の良し悪しが製品寿命を左右します。
だからこそ、ギャップフィラーの品質は妥協できません。

しかし現場でよく起きるのが、配合比のズレです。
主剤と硬化剤の比率が10対1や100対1のように偏っている場合、少量側の計量誤差が全体の物性に大きく響きます。
手作業での計量・撹拌では、この誤差を安定して抑えるのが難しいのが実情です。

混合不良と気泡が放熱性能を落とす

配合比が合っていても、混合が不十分であれば意味がありません。
スタティックミキサーは液剤をエレメント内で分割・合流させながら混ぜる方式ですが、可使時間の短い樹脂ではミキサー内で硬化が進み、詰まりや混合ムラの原因になります。

ギャップフィラーはフィラー(充填材)を多く含むため粘度が高く、一般的な樹脂よりも混合の難易度が上がります。
混合が甘いまま塗布すると、内部に気泡やムラが残り、接触熱抵抗が想定より高くなってしまいます。

信越化学工業のSDPシリーズのように、塗布時はグリース状で基材になじみ、硬化後はオイルブリードやポンプアウトの懸念がない製品もあります。
ただしこれも、計量と混合が正確であることが前提です。

手作業からの脱却が歩留まり改善の近道

ここまでの原因を踏まえると、歩留まり改善の本質は計量と混合の再現性をどう担保するかに尽きます。
手作業に依存している限り、担当者のスキルや疲労で結果がぶれ続けます。

私が現場で改善を進めたときも、最終的に効果が大きかったのは装置による自動化でした。
容積計量方式のディスペンサーであれば、粘度変化の影響を受けにくく、ショットごとの計量誤差を抑えられます。
協働ロボットと組み合わせれば、塗布パターンの再現性も安定します。

現場で見直す価値があるポイントは、次の3つです。

  • 配合比のズレを抑える容積計量方式の採用
  • 可使時間や粘度に合わせたミキサー方式の見直し
  • 協働ロボットによる塗布パターンの標準化

例えばナカリキッドコントロールは、放熱用2液ギャップフィラー材を協働ロボットと連携させて計量から混合吐出までを実演するデモを公開しています。
カタログスペックだけでは伝わらない実際の動きを確認できる情報源として、一度見ておく価値はあります。

まとめ

ギャップフィラー材の歩留まり低下は、配合比のズレ、混合不良、そして手作業への依存という3つの原因が重なって起きています。
一つひとつは小さな誤差でも、積み重なると製品の放熱性能に直結します。

まずは自分たちの工程がどこでぶれているのかを見極めることから始めてみてください。
装置選定はその後でも遅くありません。

最終更新日 2026年7月3日 by essall